

SHM-CD体験サンプラーを使ったCDとの音質比較
» 音楽ネタ全般
CD よりも高音質と謳われる SHM-CD (Super High Material CD) がちょっと気になっていて、実際にどの程度違うのか確認してみたくなったので体験サンプラーを買ってみました。
購入したのはユニバーサルミュージックが発売している「これがSHM-CDだ!ジャズで聴き比べる体験サンプラー」で、CD と SHM-CD に同一マスターからプレスした曲が収められた試聴用のパッケージです。
試聴用ということで価格は1000円に設定されていますが、13曲入りのベスト版 CD として考えれば十分お買い得?
SHM-CD は、通常の CD で使われる樹脂素材よりも透明度の高い液晶パネル用ポリカーボネート樹脂を記録面に採用することで、レーザー光の複屈折率を減少させ信号読み取り精度上がり、その結果 CD よりも音質が良くなったと謳われています。
SHM-CD のサイトに解説ページがありますが、項目の羅列と説得力のないグラフだけで、懐疑的な人を納得させるような踏み込んだ説明はありません。
さて、ここからが本題です。
釈然としないままとりあえずサンプラーを聴いてみました。


左が CD、右が SHM-CD。盤面の見た目に大きな違いはありません。
どっちがどっちか手にとって分かって試聴している時点で既にバイアスがかかってて適正ではないとも言えますが・・・
で、その結果、たしかに音が違いました。
少なくとも自分の耳では違うように聴こえました。
文章で明確に説明するのは難しいのですが、CD よりもクリアに聴こえるというか音の粒がより細かいというか、生楽器の倍音成分がよりくっきり聴こえているような感じというか。特にシンバルやハイハットの高域の違いはよく分かりました。
ただ、この違いは双方を細かく比較して分かる程度の違いで、ブラインドテストで出されたらすぐに分かるほどの自信はないとも言えます。
出音の違いは確認できても、なぜそうなるのかは自分には説明できません。
そこで実際にどこが違うのか音声データを取り込んで比較してみることにしました。
サンプルは1曲目、ジョン・コルトレーンの All Or Nothing At All をチョイスしました。録り込んだ波形の頭をそろえて 1:00 (±.00) のところを表示させたのが下のスペクトルです。
CD - All Or Nothing At All (1:00.00) アナログライン録り
.png)
SHM-CD - All Or Nothing At All (1:00.00) アナログライン録り
-57bb8.png)
両方のスペクトルの重ね合わせ
-866af.png)
3つ目のスペクトルは共通部分が黒で差分の赤が SHM-CD、水色が CD です。双方のスペクトルを見る限りでは大きな違いはありませんが、同一ではありません。重ね合わせると20kHz以降に違いが多く現れました。
今回の測定ではアナログライン上のプレイヤーから先の経路の信号変化は考慮していないので、その影響が波形に現れているかどうかは不明です。
取り込みは iTunes 8 の WAV フォーマットで、マシンは DELL Inspiron 530s、ドライブは LG 製のスーパーマルチドライブ GSA-H62N を使用しました。

iTunes 8 (Windows 版) のインポート設定のプロパティ
1回目はオプション項目の読み取りエラー訂正なしで、2回目はエラー訂正ありで試してみました。iTunes の「エラー訂正」 はソフト側で同じ部分を数回読み込んでフレーム間補正を行うもので、前述のドライブのエラー訂正とはまったく別のものです。
面白い結果がでました。エラー訂正なしでは約38MB中に72バイトだけ違いが現れました。違いが出たポイントは曲の最初に近い部分です。曲の途中の数十バイトのデータの違いが全体の音質に影響することは音声フォーマットの仕様上まずありえないので、これはもう同じといっていいと思います。
エラー訂正ありでは完全に同一データであることが確認できました。このことからプレスに使われたマスターは同じ音源であることが分かります。

デバイスマネージャのスーパーマルチドライブのプロパティ
アナログ再生した場合は CD-DA のプレイヤーとして DA 変換されたアナログ信号がサウンドデバイスに渡され、デジタル再生の場合はリッピングと同じ流れでソフト側で処理されたデジタルデータがサウンドデバイスへ渡されます。

Windows Media Player のデバイスのプロパティ
ソフト側にも同様にデジタル/アナログ再生の設定項目が実装されている場合もあります。例えば、Windows Media Player にはオプションのデバイス設定項目にデジタル再生とアナログ再生の選択項目があります。
iTunes には再生時の設定項目はありませんが、おそらくリッピングと同じデジタル再生と思われます。
● PC でリッピングして生成された音声データファイルは同じ
● PC のドライブで再生するときはドライブまたはソフトの設定を確認する必要あり
別の角度から見ると、ノーマル CD でもリッピングしてリニアデータを S/PDIF 経由でデジタルアンプに出力すれば CD-DA で再生した時よりも音が良くなる(かもしれない)ということです。
CD-DA として CD プレイヤーで聴く場合は、聴く本人が CD との違いが感じられてその音質と若干割高な価格に納得できるなら選ぶ価値はある(かもしれない)というところでしょうか。
今のところ採用しているレコード会社が少なくラインナップも少ないのが難点ですが。
自分の場合、音楽を聴く環境はほとんど PC (からオプティカルでデジタルアンプ出力)と iPod になってしまっているので、SHM-CD でしかリリースされないというパターン以外は、今回の結果をみると積極的に選ぶ理由は見つかりませんでした。
[関連サイト]
SHM-CD Super High Material CD
ユニバーサルミュージック ジャパン
購入した体験サンプラー
購入したのはユニバーサルミュージックが発売している「これがSHM-CDだ!ジャズで聴き比べる体験サンプラー」で、CD と SHM-CD に同一マスターからプレスした曲が収められた試聴用のパッケージです。試聴用ということで価格は1000円に設定されていますが、13曲入りのベスト版 CD として考えれば十分お買い得?
SHM-CD は、通常の CD で使われる樹脂素材よりも透明度の高い液晶パネル用ポリカーボネート樹脂を記録面に採用することで、レーザー光の複屈折率を減少させ信号読み取り精度上がり、その結果 CD よりも音質が良くなったと謳われています。
従来の CD-DA について
ちなみに、CD で採用されている CD-DA フォーマットは再生環境やパッケージの性格上相当量の読み取りエラーが発生することが予め設計の段階から想定されていて、EF 変調、クロスインタリーブ、リードソロモン符号などのアルゴリズムを使ってエラーで失われたデータを数学的に正しく復元できるように設計されています。つまり、よほどのことがない限り読み取られた音声データは期待された通りに復元されて再生されているということになります。SHM-CD のサイトに解説ページがありますが、項目の羅列と説得力のないグラフだけで、懐疑的な人を納得させるような踏み込んだ説明はありません。
さて、ここからが本題です。
釈然としないままとりあえずサンプラーを聴いてみました。
見た目の比較


左が CD、右が SHM-CD。盤面の見た目に大きな違いはありません。
とりあえず聴いてみた結果
1曲通して比較するのは時間的な記憶の脚色で差がでてくる可能性があるので、曲の一部分を CD と SHM-CD をとっかえひっかえ何度も繰り返し再生してチェックしてみました。どっちがどっちか手にとって分かって試聴している時点で既にバイアスがかかってて適正ではないとも言えますが・・・
で、その結果、たしかに音が違いました。
少なくとも自分の耳では違うように聴こえました。
文章で明確に説明するのは難しいのですが、CD よりもクリアに聴こえるというか音の粒がより細かいというか、生楽器の倍音成分がよりくっきり聴こえているような感じというか。特にシンバルやハイハットの高域の違いはよく分かりました。
ただ、この違いは双方を細かく比較して分かる程度の違いで、ブラインドテストで出されたらすぐに分かるほどの自信はないとも言えます。
出音の違いは確認できても、なぜそうなるのかは自分には説明できません。
そこで実際にどこが違うのか音声データを取り込んで比較してみることにしました。
アナログライン出力取り込みでスペクトル検証
まず、単体の CD プレイヤーで双方のディスクを再生してアナログ出力したものをラインで PC に録り込んで、曲のある部分のスペクトルを見てみます。サンプルは1曲目、ジョン・コルトレーンの All Or Nothing At All をチョイスしました。録り込んだ波形の頭をそろえて 1:00 (±.00) のところを表示させたのが下のスペクトルです。
CD - All Or Nothing At All (1:00.00) アナログライン録り
.png)
SHM-CD - All Or Nothing At All (1:00.00) アナログライン録り
-57bb8.png)
両方のスペクトルの重ね合わせ
-866af.png)
3つ目のスペクトルは共通部分が黒で差分の赤が SHM-CD、水色が CD です。双方のスペクトルを見る限りでは大きな違いはありませんが、同一ではありません。重ね合わせると20kHz以降に違いが多く現れました。
今回の測定ではアナログライン上のプレイヤーから先の経路の信号変化は考慮していないので、その影響が波形に現れているかどうかは不明です。
iTunes リッピングのデジタルデータでスペクトル検証
次に iTunes でリッピングしてデジタルデータとしてのバイナリ比較をしてみました。取り込みは iTunes 8 の WAV フォーマットで、マシンは DELL Inspiron 530s、ドライブは LG 製のスーパーマルチドライブ GSA-H62N を使用しました。

iTunes 8 (Windows 版) のインポート設定のプロパティ
1回目はオプション項目の読み取りエラー訂正なしで、2回目はエラー訂正ありで試してみました。iTunes の「エラー訂正」 はソフト側で同じ部分を数回読み込んでフレーム間補正を行うもので、前述のドライブのエラー訂正とはまったく別のものです。
| iTunes 8 インポート | All Or Nothing At All バイナリ比較結果 |
| 読み込みエラー訂正なし | 37,977,788 バイト 72バイトの違いあり |
| 読み込みエラー訂正あり | 37,977,788 バイト 全て同じ |
面白い結果がでました。エラー訂正なしでは約38MB中に72バイトだけ違いが現れました。違いが出たポイントは曲の最初に近い部分です。曲の途中の数十バイトのデータの違いが全体の音質に影響することは音声フォーマットの仕様上まずありえないので、これはもう同じといっていいと思います。
エラー訂正ありでは完全に同一データであることが確認できました。このことからプレスに使われたマスターは同じ音源であることが分かります。
PC の光学ドライブで再生するときの注意点
PC のドライブで SHM-CD (CD) を音声として再生する場合は、ドライブのデジタル再生機能とアナログ再生機能のどちらを使用しているかデバイスドライバのプロパティで確認しておく必要があります。
デバイスマネージャのスーパーマルチドライブのプロパティ
アナログ再生した場合は CD-DA のプレイヤーとして DA 変換されたアナログ信号がサウンドデバイスに渡され、デジタル再生の場合はリッピングと同じ流れでソフト側で処理されたデジタルデータがサウンドデバイスへ渡されます。

Windows Media Player のデバイスのプロパティ
ソフト側にも同様にデジタル/アナログ再生の設定項目が実装されている場合もあります。例えば、Windows Media Player にはオプションのデバイス設定項目にデジタル再生とアナログ再生の選択項目があります。
iTunes には再生時の設定項目はありませんが、おそらくリッピングと同じデジタル再生と思われます。
今回の結果をまとめると・・・
● CD プレイヤーで CD-DA としてアナログ出力で聴いたときは違いがある(と思われる)● PC でリッピングして生成された音声データファイルは同じ
● PC のドライブで再生するときはドライブまたはソフトの設定を確認する必要あり
結論
デジタル再生またはリッピングした音声データで聴く場合は、わざわざ SHM-CD を選ぶメリットはないといえます。別の角度から見ると、ノーマル CD でもリッピングしてリニアデータを S/PDIF 経由でデジタルアンプに出力すれば CD-DA で再生した時よりも音が良くなる(かもしれない)ということです。
CD-DA として CD プレイヤーで聴く場合は、聴く本人が CD との違いが感じられてその音質と若干割高な価格に納得できるなら選ぶ価値はある(かもしれない)というところでしょうか。
今のところ採用しているレコード会社が少なくラインナップも少ないのが難点ですが。
自分の場合、音楽を聴く環境はほとんど PC (からオプティカルでデジタルアンプ出力)と iPod になってしまっているので、SHM-CD でしかリリースされないというパターン以外は、今回の結果をみると積極的に選ぶ理由は見つかりませんでした。
[関連サイト]
SHM-CD Super High Material CD
ユニバーサルミュージック ジャパン

これがSHM-CDだ!2 ロック/ソウル/ブルースで聴き比べるサンプラー
- 出版社/メーカー: UNIVERSAL INTERNATIONAL(P)(M)
- 発売日: 2008/09/03
- メディア: CD
Facebook コメント
Facebook コメントに書き込まれた質問に対する返答・回答は行いません。ご了承ください。トラックバック 1
高音質CDはオカルトなのか?(筆Blog 2009-03-29 14:25)
Penです 先日CDショップを訪れた際、あることに気づきました。 そう、SHM-CD、HQCD、Blu-spec CDといった、メーカーが標榜するところの高音質CDの再販がやたらと多いことに。 SHM-CD HQCD Blu-spec CD 各社からいろいろな”規格”…[続く]
この記事のトラックバックURL:
※言及リンクのないトラックバックは受信されません。







「SHM-CD体験サンプラーを使ったCDとの音質比較」
を深刻な思いで読みました。
CD媒体で読み取りエラーが発生するのは当たり前なのでしょうか。
音楽CDであれば、「少し音が変わった」ですむかもしれませんが
プログラムソフトなどのファイルをバックアップ用にlコピーをする場合、
1byte でも違えば致命的な結果につながる恐れもあります。
Windows 上でファイルコピーする場合と、MS-DOSで ヴェリファイ
オプションで copy する場合とで差はあるのでしょうか。
by 菊池善 (2009-05-13 17:37)
菊池善さん、コメントありがとうございます。
オーディオCD(CD-DA)とパソコンなどで使われるCD-ROMは
見た目や媒体は同じでもフォーマット(規格)が違うので
心配されているようなことは起こりません。
説明すると長くなるので、
検索サイトで「CD-DA CD-ROM」で検索してみてください。
疑問が少しは解決するかもしれません。
by TAN (2009-05-13 18:07)
親切な御返事、有難う御座います。さっそく検索して調べてみます。
by 菊池善 (2009-05-13 23:40)
上記のアナログの差って同じCDでもやるたびに変わる程度のことやん。
SHMは100%オカルトかと。
by namae (2010-04-21 12:28)
ぶっちゃけまあその通りなんですけど、
実験結果は一応ありのままの結果として掲載したまでです。
回数を増やして平均値でやったほうがよりよかったかもしれませんね。
by TAN (2010-04-21 23:10)